特定非営利活動(NPO)法人こころのはな 設立趣旨書
ジャーナリスト 池上正樹
【池上正樹 氏】
ジャーナリスト。引きこもりの問題を18年間(2015年で)取材している。当事者に寄り添う姿勢が高く評価され、相談も多数ある。主な著書に『大人のひきこもり』(講談社現代新書)がある。

池上正樹氏を招いて、引きこもりの現状を聞く 2015年4月20日

四月二十日、ジャーナリストの池上正樹さんをお迎えし、引きこもりの現状を聞き、これからの「こころのはな」の運営についてのヒントをいただきました。

斯波:池上さんの現在の活動から、見えてくる問題について教えてください。

池上:毎日当事者からメールをもらいますが、多くの相談に、「これからどう生きていったらいいのか分からない」「社会復帰したいけどノウハウがない」という声を受けとめてくれる場が近くにないということから、当事者ひとりひとりに寄り添える居場所づくりが求められていると感じています。

斯波:価値観が多様化した現代社会において混乱が増えているということでしょうか?

池上:むしろ一つの価値観を強要される、ほかに選択肢がないという社会背景が当事者たちを追い込んでいます。チャンスに恵まれず、親の期待にも応えられなかったという気持ちから、「自分はもうダメなんだ」と、どんどん孤立して引きこもる原因になっています。

キーワードは「関係性づくり」です。家から出られないというのは本質的なことでなく、家族以外の、また家族とさえも関係性がつくれないということが問題です。そこで当事者たちの話を聞きながら、関係性づくりの再構築ができればいいなと考えています。他の人にはなかなか話せなかったことが話せるようになるような関係性がつくれたことから「初めて話を聞いてもらえた」と立ち直っていく例がけっこうあります。

斯波:引きこもりになる人は純粋な人が多いのでしょうか?

池上:人が良くて、気遣いができて、心が優しい人が多いと思います。理想が高くてまじめである人ほど、社会からはじかれる傾向にあって、非常にもったいない社会だなと感じています。

斯波:「ひきこもり大学」というのはどういう活動ですか?

池上:引きこもった経験を持つ当事者たちが自分の経験を話す場で、生徒は親御さんであるという逆転の発想で、当事者たちが発案したことによってできたものです。自分のことを発表することで、どんどん自信を取り戻すことができるようになってきています。

現代は「水位が深い社会」と言えると思います。引きこもっている人たちは水位の深い底に押しのけられているような状態で、なかなか浮かび上がれない。この水位を下げることによって「助けて」と声を上げやすくなるような、そんな社会を目指していきたいなと思っています。

斯波:けっこう大変なご苦労と思いますが、使命感のようなものをお持ちなんでしょうか?

池上:真実はひとつしかないと思うのですが、日本の社会はこのような引きこもりの問題を隠したりなかったことにするようにしてきたのだと思います。その点を当事者たちの目線を通してあぶり出される真実をちゃんと伝えるのが私の使命だと思っております。

斯波:現在問題に直面している人たちになにかアドバイスはありますか?

池上:よくみなさん「履歴の空白」ということを気にされていますが、これからの社会はむしろそういった経験があったことが生かされる社会になればいいなと思います。

斯波:「こころのはな」では、そば打ち、農作業などの支援プログラムを一緒にしながら生活する「協働生活」を通して、自分らしい生き方を見つけられるようなお手伝いをしていくつもりにしています。

池上:資格だったり技術だったり当事者が、自分がこれから生きていく上で必要なことにつながっていくようなことが見えるようになるとといいですね。

斯波:本日は長時間ありがとうございました。またこれからもご指導いただければと思います。









          

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