特定非営利活動(NPO)法人こころのはな 設立趣旨書
  

本年2回目となるフォーラムを、こころのはなのイベントホールで開きました。
講師の講演、元引きこもり経験者お二人の発表、グループに別れての問題別の討論会があり、
3時間の予定はあっという間に過ぎました。

 




 

★第1部 池上正樹氏による講演

【池上正樹 氏】
ジャーナリスト。引きこもりの問題を19年間(2016年で)取材している。当事者に寄り添う姿勢が高く評価され、相談も多数ある。主な著書に『大人のひきこもり』(講談社現代新書)がある。

 

かれこれ20年近くになりますが、現在も1000名を超える引きこもり当事者のみなさんと向き合う活動をしていますが、皆さんを見ていて共通して言えるのは次の4点かなと思います。

どこにも行き場がない
周囲の視線が気になる
何もない 自分を表現できない
将来が見えない

当事者側から見ると、
もうこれ以上社会に迷惑をかけられないんだ、人を傷つけたくないんだ。
自分の命、尊厳を守るため防御するために社会から撤退せざるを得ないんだ。。
と日々感じて、意欲も失い、しだいに「諦め」の境地に入っていく・・・
それを外側から見ると「ひきこもり」に見えます。

調査によると
15歳〜39歳でおよそ『225万人』の引きこもりがいるとされていますが、
40歳代以上が含まれていないので実際にはこの倍ぐらいの数字になるかもしれません。
また今まで見過ごされていましたが、隠れた女性の引きこもりも多くなっています。

封じ込められていた思いを拾い上げる、人、場所、機関が無いという現状があります。
社会から遮断されている人たちが横のつながりを持てるように、周囲が気遣って提供していく
必要があります。
自分の状態を言葉にして表に出すという工程がとても大切で、当事者が
安心して言葉を発することができるような場づくりが求められます。
親からの押しつけなども厳禁で、
本人たちが自ら動き出すようになるタイミング、環境をどうやって作ってあげるか・・が大切。

「人にどう思われるか」より、『自分が自分を信じて魅力的な活動をしていく、夢を生きる』ようになれるのが大切だと思います。

 

★第2部 元引きこもり経験者による発表

【林 恭子 氏】
高校2年で不登校、20代半ばでひきこもりを経験する。信頼できる精神科医や同じような経験をした仲間達と出会い少しずつ自分を取り戻す。様々なアルバイト、正社員などを経て、現在は2005年に結婚した夫と古本屋を経営し雇われない働き方を模索中。

 

私は現在、横浜と東京で引きこもりや不登校に関わる活動をしています。
中でも『ひきこもり女子会』の活動は引きこもる女性の居場所がないという多くの声から生まれたものです。

引きこもっていた当時を思い出すと、今、このようにしてみなさんの前で話をしていますが、
このような日が来るとは夢にも思っていませんでした。
その経験から思うのは、引きこもりから脱出するには、自分と向き合う時間がたっぷり必要なのだと思いますし、親のみなさんがしてあげられることはごくごく小さいのではないでしょうか・・

そしてその小さいことで一番効果があるのが『腹を括る』ことだと思います。
親が腹を括りますと、不思議と当事者は少しずつ動き出すようになります。
『彼(彼女)がどうなっても構わない。でもその子の命を誰よりも尊重する』という姿勢です。

よく見当違いの叱咤激励をもらったりしますが、それは当事者にとって全く見当違いのことです。
皆さんの生きている世界を地上の世界とすると、引きこもっている私は地下の世界、全く光の見えないところで、毎日自分を責め続けていて、「生きながら火に焼かれるような苦しみ」が続きます。

そんな「生きるか死ぬか」の状態にいる人に「とりあえず働こうよ」などと言っても全く意味がありません。

私が立ち直ることが出来たのは2つの経験がありますが、ひとつは8年前に出会った精神科医の先生で、この先生には自分の幼いころから疑問に思っていたことなど心の内をしっかり話すことが出来て、それを受け止めてもらえ、自分がそれまで隠していた心の内を取り戻して、少しずつ自信を取り戻すことが出来ました。

もうひとつは99年から関わった「引きこもりを考える会」で、いろんな人生を歩んでいる人たちがいるんだと知ることで、とってもラクになったことでした。

今日のことで、「引きこもり」とはどういうことなのかを、今一度考えるきっかけにしていただければ幸いです。

 


【大谷武郎 氏】

10年近く茨城で引きこもっていて、去年からやっと出てきたところです。
今は「ひきこもり大学」の運営をサポートしています。

 私のしている茨城の「ひきこもり大学」では、当事者の考えることが、収入につながらないか?を模索しています。

私が引きこもったのは、最初は親の入院が原因でいじめに遭ったことから、だんだんと社会と親が信用できないようになっていきました。
ドアをバリケードを作って入れないようにしてみたり、なんとか親の会話をパソコンで盗聴できないか・・などということを考えたりもしていました。

引きこもりから出る大きなきっかけが2011年の東日本大震災でした。
引きこもっていたから・・ということは関係なく、肩書を気にせず「今なにができるのか?」を見てくれて、そういうことで全員がつながりひとつの方向に向かって進んで行けたのが良かったです。

それから2013年に死にかけて入院したことです。徐々に全身の感覚が無くなり、それまで抱いていたわだかまりなどを放棄しました。
10日後に目が覚めたのですが、親がお医者さんに「いくらかかってもいいから、助けてやってほしい」と言っていたらしいのを聞いて、親が自分に向き合ってくれている真実をしっかり知り、不信感を抱いている場合ではない・・と考えを変えることができました。

私が元気になれたのは、震災のとき、また、ひきこもり大学での活動を通して、「チームとして取り組み、同じ目的に迎えば共に進むことが出来るんじゃないか」と思えるようになったからです。

引きこもり大学の活動で、多くの当事者と会いますが、みんなそれぞれ個性が違い、その都度衝突などもありますが、多くの個性が「ひきこもり」というキーワードでつながることが出来るといいなと思います。

 
 



 
★第3部 テーマ別グループミーティング

第3部は、いくつかのテーマに分けて、そのテーマに関心のある人たちにグループになってもらい、
自分が思っていることや、経験したこと、聞いたこと・・を、硬くならずに話し合いました。
とても意義深いミーティングとなりました。








          

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